CAEソフト導入支援ガイド【CAExplorer】 
CAEソフト導入支援ガイド【CAExplorer】  » CAEの賢い使い方とは » CAEのフリーソフトは「使える」のか

CAEのフリーソフトは「使える」のか

目次を開く
目次

CAEソフトの中には、オープンソースや無償で利用できるフリーソフトもあります。このページでは、代表的なフリーCAEソフトを取り上げ、その特徴や留意点を簡潔に紹介します。

無料で使えるCAEソフト

Calculix

HPキャプチャ
※画像引用元:Calculix公式サイト
(https://www.calculix.de/)

オープンソースの有限要素解析ソフトで、線形・非線形を含む構造解析や熱解析など、実務にも活用できる解析に対応しています。
入力形式が商用ソフトのAbaqusに近いため、Abaqus利用者であれば比較的スムーズに扱えるでしょう。

CalculiXでできること

Calculixの画像
引用元HP:Calculix公式
https://www.calculix.de/fw05lav.html
  • 構造・熱・動解析に対応
  • Abaqus互換の入力形式をサポート
  • 外部CFD(OpenFOAMなど)との連携が可能

CalculiXは、オープンソースの3D構造解析用有限要素ソフトで、線形・非線形の応力解析、静的・動的解析、熱解析に幅広く対応
前処理・後処理にはOpenGLベースのGUIを備え、Abaqus形式の入力ファイルも利用できるため、商用CAEとの併用もしやすい点が特徴です。LinuxとWindowsの両環境で動作し、精度の高い解析を行いたい研究・開発用途にも適しています。

CalculiXではできないこと

一方で、完全な流体解析や高度なマルチフィジックス解析には対応しておらず、大規模並列計算も不得意な領域です。GUI機能も必要最小限にとどまり、直感的な操作性や高度な可視化では商用CAEに及びません。さらに、公式サポートは提供されていないため、トラブル対応や情報収集はユーザー自身で行う必要があります。

CodeAster

HPキャプチャ
※画像引用元:CodeAster公式サイト
(https://www.code-aster.jp/)

フランス大手電力会社eDFが開発した、オープンCAEソフトです。応力解析や振動解析、熱解析、疲労解析、マルチフィジックス解析などに対応。日本でも有償サポートを提供しており、国内にトレーニング会場を設けています。

CodeAsterでできること

CodeAsterの画像
引用元HP:CodeAster公式
https://www.code-aster.jp/product.html
  • 構造解析ソルバーとして利用可能
  • 熱・動解析やマルチフィジックス解析に対応
  • 熱–構造・流体–構造などの連成解析をサポート

CodeAsterは、線形・非線形の応力解析をはじめ、振動解析や熱伝導、破損・疲労・音響といった幅広い物理現象を扱えるソルバー。動的解析では固有値、時刻歴応答、周波数応答などに対応し、熱や流体との連成解析も実施できます。研究開発や教育など、限られたコストで高度な解析を行いたい場面でも使いやすいソフトです。

CodeAsterではできないこと

高度な流体解析(CFD)や電磁場解析には非対応で、大規模モデルを高速に処理する並列計算も得意ではありません。操作はコマンドラインが中心となるため、直感的な操作性には限界があり、利用には一定のCAE知識が求められます。

WARP3D

HPキャプチャ
※画像引用元:WARP3D公式サイト
(https://www.warp3d.net/)

アメリカ・イリノイ大学で開発されたフリーCAEソフトで、3次元固体を対象とした非線形有限要素解析に対応。とくに、き裂進展などの構造解析に強みがあります。Linux、Windows、macOSで利用できるため、研究用途から設計検証まで、幅広い環境で扱いやすい点が特徴です。

WARP3Dでできること

  • 3D非線形構造解析に対応
  • 金属疲労・破壊(き裂進展)解析を実施可能
  • 大規模な有限要素モデルの静的・動的解析に適用

WARP3Dは、大規模な3D固体モデルを対象とする構造解析ソフトで、とくに金属材料の疲労・破壊解析に強みを持ちます。J積分や応力拡大係数の計算、結合要素によるき裂成長の評価、粘塑性やサイクル材料特性の反映など高度な解析機能がそろっており、鉄鋼部材や航空機部品など、き裂の発生と進展の評価に活用できます。

WARP3Dではできないこと

流体解析や熱流体連成といったCFD領域は対象外で、マルチフィジックス解析は限定的です。複雑な機構解析やロボット・メカトロニクスの動的挙動、電磁場の解析にも向かず、GUIも必要最小限の機能にとどまります。また、大規模並列計算やクラウド環境での最適化処理には制約があり、用途によっては商用CAEの方が適する場合があります。

Elmer

HPキャプチャ
※画像引用元:Elmer公式サイト
(https://www.elmerfem.org/blog/)

フィンランドで開発されたフリーCAEソフトで、構造・振動・熱・流体解析など、多様な物理現象を扱えるマルチフィジックス系のツールです。LinuxとWindowsに対応していますが、環境によって操作感がわずかに異なる場合があります。

Elmerでできること

  • 構造解析への対応
  • 熱解析の実行
  • 流体解析(CFD)などの活用

Elmerは、構造・熱・流体・電磁界といった複数の領域をカバーするオープンソースCAEで、熱–構造や流体–構造などの連成解析も行えます。研究開発や教育用途はもちろん、産業分野での設計検証にも適しており、コストを抑えながら複雑なシミュレーションを行いたい場合に有用です。

Elmerではできないこと

一方で、高度なCFDや乱流解析、大規模な空力・水理解析は不得意な領域です。複雑な機構解析やメカトロニクスの動的挙動、電磁界と構造・流体を組み合わせた高度連成にも制約があります。また、並列計算は行えるものの、GPU最適化や超大規模並列処理には向いていない点にも注意が必要です。

Adventure

HPキャプチャ
※画像引用元:Adventure公式サイト
(https://adventure.sys.t.u-tokyo.ac.jp/jp/)

東京大学の研究グループが中心となり、開発された国産のフリーCAEソフト。Windows環境で動作し、要素数の制約なくメッシュ生成から解析、ポスト処理までを一つのソフトで完結できます。簡易的なCAD機能も備えており、前処理を含めた一連の作業をまとめて進められます。

Adventureでできること

Adventureの画像
引用元HP:Adventure公式
https://adventure.sys.t.u-tokyo.ac.jp/jp/applications/examples/solid_abwr35m.html
  • 非線形静磁場解析
  • 時間調和渦電流解析
  • 非定常渦電流解析

Adventureは構造解析を得意とし、線形・非線形の静的応力解析や動的解析、熱解析まで幅広く扱えます。材料特性や境界条件の設定にも柔軟に対応し、熱–構造連成解析も実施可能です。GUIや前後処理ツールが整っているため、教育用途から研究開発、設計検証まで、さまざまな場面で利用しやすい点が魅力です。

Adventureではできないこと

流体解析(CFD)や流体–構造連成には対応しておらず、複雑なマルチフィジックス解析は不得意な領域です。さらに、非線形の大変形や接触を伴う高度な解析、大規模モデルを効率的に処理する並列計算にも限界があります。

FrontISTR

HPキャプチャ
※画像引用元:FrontISTR公式サイト
(https://www.frontistr.com/)

産総研や大学が参画する研究開発プロジェクトから生まれた国産のオープンソースCAEで、線形・非線形解析、固有値解析、熱伝導解析などをサポートします。ライセンスフリーで利用できますが、商業利用時には別途契約が必要です。

FrontISTRでできること

FrontISTRの画像
引用元HP:FrontISTR公式
https://www.frontistr.com/features/
  • 非線形構造解析に対応
  • 熱伝導解析を実行可能
  • 固有値解析をサポート
  • 大規模並列解析などの高負荷計算に適応

FrontISTRは、大規模な構造解析や熱解析に強みを持つ有限要素解析ソフト。線形・非線形の応力解析や振動解析、熱伝導解析に幅広く対応し、大規模モデルを効率的に処理できる並列計算に最適化されています。建築・土木構造物、航空宇宙部品、機械構造など、複雑で大規模な構造物の設計検証や性能評価、研究開発の現場で活用しやすいソフトと言えるでしょう。

FrontISTRでは
できないこと

流体解析(CFD)や流体–構造連成、電磁場解析には非対応で、適用範囲は主に構造系に限られます。さらに、接触問題や大変形、材料非線形を伴う高度な解析では制約があり、多領域を同時に扱うマルチフィジックス用途では商用CAEに比べて選択肢が限られます。

フリーCAEソフトの注意点

フリーCAEソフトは、基本原理を理解しているユーザーを前提とした設計になっていることが多く、初心者には扱いづらい場合があります。さらに、無償ゆえに対応できる解析範囲が限られている、ファイル互換性に制約がある、といった点にも注意が必要です。
また、海外製ソフトは日本語の導入支援やサポートが十分でないケースもあり、運用上の負担につながる可能性も無視できません。

これからCAEソフトの導入を検討する場合は、サポート体制や技術資料が充実した、国内企業が提供する製品を優先すると安心です。
当サイトでは、上流での当たり付け、詳細設計での精度確保など目的に合わせておすすめのCAEソフトを紹介しているため、比較の参考にしてみてください。

【目的別】CAEソフト
おすすめ3選を見る

CAE・構造解析のフリーソフト
と有料ソフトの違い

CAEには無償で使えるフリーソフトと、有償の商用ソフトがあります。フリーソフトは導入コストを抑えられる点が魅力ですが、特徴や制約を理解していないと適切な選択が難しくなることもあります。両者の違いを把握したうえで、自社の用途や求める精度に合ったソフトを検討することが大切です。

違いを比較してみる

項目 フリーソフト 有料ソフト
導入コスト 無料(ライセンス料不要) ライセンス費用が必要
解析機能の範囲 基本的な構造解析(線形・非線形)、熱解析などが中心 広範なマルチフィジックス(構造・流体・電磁・音響など)、最適化、連成解析など幅広い
操作性・UI GUIがシンプル、あるいは限定的 洗練されたGUI、ウィザードやチュートリアルが充実
サポート体制 公式サポートは限定的 ベンダーによる技術サポート、トレーニング、保守契約が可能
解析精度・信頼性 数学的な精度は高いが、産業レベルでの検証が少ない場合も 実績があり、信頼性・検証済みの物理モデルやソルバーが提供されている
対応ファイル形式 入力形式は限られるものが多い 多数のCAD形式、メッシュ形式、商用CAE形式とのインターフェースを用意
カスタマイズ性 ソースコードが公開されており、自由に改変・拡張可能 マクロ、スクリプト、APIによる拡張は可能だが、ソース改変は困難
利用シーンの目安 教育・研究、個人プロジェクト、小規模解析、コスト重視の導入 産業用途、設計開発・製品検証、安全性評価、大規模最適化、マルチフィジックス解析

フリーソフトは使用期間・
機能に制限がある

フリーソフトには、使用期間や利用できる機能に制約が設けられているケースが少なくありません。試用期間中はほぼ全機能を使えても、期間終了後に一部機能が制限されるタイプが代表的です。期間制限がない場合でも、初期状態から機能が限定されており、有償プラン契約で限定解除を行うソフトもあります。

用途が専門的な場合は
対応しきれないことも

解析の目的や求められるレベルはユーザーによって異なり、とくに高度な解析を行うには専門的な知識が必要です。フリーソフトは手軽に使える一方で、対応できる解析範囲が限られており、複雑な解析では機能不足に陥るケースもあります。

単純な形状の部品であれば対応可能な場合もありますが、業務外でのプレテストや個人利用にとどめ、実務の中心には据えない企業も多いのが実情です。

複数のツール併用が前提と
なることが多い

フリーソフトは、専門的な解析に必要な機能を単体でカバーしきれないことがあります。そのため、複数のソフトを組み合わせて使わざるを得ず、導入コストこそ抑えられても、運用面で手間が増えるケースが少なくないのです。結果として、追加ツールの準備や管理が負担となり、「最初から有料ソフトを導入するべきだった」と感じる可能性もあります。

CAEフリーソフトの利用が
おすすめなケース

フリーのCAEソフトは機能面で制約はあるものの、用途によっては十分に活用できます。簡単な形状の部品であれば解析可能なソフトも多く、基本設計段階で性能をおおまかに確認したい、といった場面では重宝するでしょう。また、導入コストを抑えたい、個人利用で試したい、という場合にも選択肢として有効です。

CAEフリーソフトとオープン
ソースCAEの違い

フリーCAEソフトを検討する際は、オープンソースCAEとの違いも押さえておくと判断しやすくなります。両者は無償で利用できる点は共通していますが、最大の違いはソースコードが公開されているかどうかにあります。

フリーソフトはソースコードが非公開のため、独自に改良したり再配布したりすることはできません。一方、オープンソースはコードが公開されており、必要に応じて修正・拡張したり、システム連携を柔軟に行えたりする点が大きな特徴です。

CAEフリーソフトに関するFAQ

フリーのCAEソフトでも
業務に使えますか?

業務での利用も可能ですが、用途には一定の制限があります。研究開発や試作評価、教育、小規模な設計検証などであれば十分活用できますが、最終製品の検証や安全性評価のように高い信頼性が求められる場面では、商用CAEとの併用が現実的です。

フリーソフトとオープン
ソースの違いは何ですか?

フリーソフトは無料で利用できる反面、ソースコードが非公開で、改変や再配布には制限があります。対してオープンソースはコードが公開されており、利用・改変・再配布を自由に行える点が特徴です。無償で提供されることも多いものの、ライセンス遵守が前提となります。

日本語のサポートがある
フリーCAEはありますか?

SALOME MECAやCodeAsterは、日本語のサポートやトレーニングが提供されています。完全なフリーソフトではありませんが、
SimScaleのCOMMUNITYプランでも日本語サポートを利用できます。

無料ソフトでも構造解析や
流体解析はできますか?

構造解析・流体解析のどちらも実行できます。ただし、対応範囲や精度はソフトごとに異なるため、解析規模や操作性に応じて
商用CAEとの使い分けが必要です。

商用CAEとの互換性は
ありますか?

一部のソフトは互換性を備えていますが、独自形式を採用しているフリーソフトも多く、完全な互換性を期待するのは難しい場合があります。

教育目的で使う場合の
おすすめは?

操作が比較的やさしく、学習リソースも揃っているSALOME MECA、CodeAster、CalculiXなどは、教育用途で扱いやすいソフトと言えます。

どんな場合に有料CAEを
選ぶべきですか?

非線形構造解析や流体–構造連成などの高度な解析、大規模モデルの高速処理、法規制・安全評価を行う場面では、有料のCAEが適しています。操作性やCAD連携、解析自動化、技術サポート面でもメリットがあり、業務レベルでの安定した運用が期待できるでしょう。

目的別
CAEソフトおすすめ3選

開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。

開発上流での高速な
複数案検証・当たり付け
シムスケール
SimScale
画像引用元:SimScale公式HP
(https://simscale.kke.co.jp/)
分散・並列実行で解析
を高速化

構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。

上流での即時検証と連携
が可能なクラウド設計

非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。

AIとサロゲートモデル
構築による効率化

AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。

CAD・CAM一体化による
手戻り抑制・内製効率化
オートデスク フュージョン
Autodesk Fusion
画像引用元:Autodesk Fusion 公式HP
(https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview)
開発ツールの統合で
手戻りを防ぐ

CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。

設計段階で性能と信頼性
を検証

構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。

設計業務を効率化するAI搭載

ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。

詳細設計〜最終判断のための
高精度再現・相関確保
アンシス
Ansys
画像引用元:Ansys公式HP
(https://www.ansys.com/ja-jp)
信頼性の高い解析精度と
品質保証体制に対応

ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1

高度なマルチフィジックス解析に対応

構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。

高負荷解析を支える
HPCとクラウド環境

Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。

※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance