CAEソフト導入支援ガイド【CAExplorer】 

熱伝導解析とは?

電子部品の小型化が進み、発熱対策は製品の信頼性に直結します。熱伝導解析は固体内部の温度分布をシミュレーションで可視化するCAE手法です。

熱伝導解析が求められる背景と基本の仕組み

素子の高密度実装に伴い、単位面積あたりの発熱量は増加しています。試作だけで熱対策を進めると手戻りが発生しやすく、熱伝導解析を活用して設計段階で温度分布を予測する手法が重要視されています。

熱伝導解析は、固体中で高温部から低温部へ熱が移動する現象を数値的に解く手法です。アプローチは2種類に分かれます。

  • 定常解析:時間変化を考慮せず、最終的な温度分布を求める
  • 非定常解析:時間経過に伴う温度変化の推移を追跡する

最高温度の確認には定常解析、電源投入後の温度上昇カーブを把握する用途には非定常解析が適しています。

解析精度を左右する物性値と境界条件

解析結果の精度は、材料物性値と境界条件の設定に大きく依存します。境界条件には温度境界、放熱・環境輻射境界、熱伝達係数による対流条件があり、目的に応じた使い分けが求められます。

熱伝達係数は実測値や推算式から求める必要があり、値が不明な場合は解析精度が低下します。複雑な製品形状では実測データが欠かせない点が、熱伝導解析の適用上の制約です。

定常解析と非定常解析で変わる必要物性

  • 定常解析:熱伝導率λのみで計算可能
  • 非定常解析:熱伝導率λに加え、比熱cと密度ρが必要

非定常解析では蓄熱量の計算に比熱と密度が不可欠です。実施する解析タイプを事前に決めておくと、物性データの準備を効率よく進められます。

熱伝導解析と熱流体解析の使い分け

固体内部の熱伝導が支配的な場面では熱伝導解析で十分です。筐体内の空気対流が放熱に大きく影響するケースでは、熱流体解析を検討する必要があります。

  • 熱伝達係数が既知か:既知なら熱伝導解析で対応でき、未知なら熱流体解析が候補になる
  • 形状の複雑さ:単純形状は推算式で精度が出るが、形状変更で結果が変動する場合は熱流体解析が有効

計算コストが高い熱流体解析は、まず熱伝導解析で概略を把握してから精度不足の箇所に絞って適用する方法が効率的です。

まとめ

熱伝導解析は固体内部の温度分布を効率よく予測するCAEの基本手法です。定常・非定常の使い分けや物性値・境界条件の設定、熱流体解析との判断基準を押さえれば、解析の信頼性は向上します。自社の熱設計課題にCAEを取り入れる第一歩として、対象部品の熱経路を整理し、適用範囲を見極めるところから始めてみてください。

目的別
CAEソフトおすすめ3選

開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。

開発上流での高速な
複数案検証・当たり付け
シムスケール
SimScale
画像引用元:SimScale公式HP
(https://simscale.kke.co.jp/)
分散・並列実行で解析
を高速化

構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。

上流での即時検証と連携
が可能なクラウド設計

非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。

AIとサロゲートモデル
構築による効率化

AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。

CAD・CAM一体化による
手戻り抑制・内製効率化
オートデスク フュージョン
Autodesk Fusion
画像引用元:Autodesk Fusion 公式HP
(https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview)
開発ツールの統合で
手戻りを防ぐ

CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。

設計段階で性能と信頼性
を検証

構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。

設計業務を効率化するAI搭載

ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。

詳細設計〜最終判断のための
高精度再現・相関確保
アンシス
Ansys
画像引用元:Ansys公式HP
(https://www.ansys.com/ja-jp)
信頼性の高い解析精度と
品質保証体制に対応

ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1

高度なマルチフィジックス解析に対応

構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。

高負荷解析を支える
HPCとクラウド環境

Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。

※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance