CAEソフトは、自動車や航空宇宙、機械工学などの研究開発に欠かせない解析ツールです。このページでは、大学や研究機関における
CAEソフトの導入事例をご紹介。どのように解析技術が実践され、研究成果の向上に貢献しているかを見ていきましょう。
SimScaleを用いた建築設計における「熱的快適性」の分析事例です。設計段階で建物内の温度分布と気流をシミュレーションし、人が心地よいと感じる空間を検証。解析の結果、窓を向かい合わせに配置することで空気循環が劇的に改善することや、床面積に対する開口比率が室温低下に直結することが判明しました。
クラウドCAEによる視覚的なデータ活用は、手戻りリスクを抑え、自然換気を最大限に活かした省エネ建築を実現するための重要な指標となっています。
岩手大学大学院では、金型・鋳造分野の設計、加工、成形技術を体系的に学べる講習を実施しており、その教育環境の一環として2004年から3D TIMONを導入。学生は直感的な操作で成形挙動を数値的に把握でき、設計判断の根拠を得ながら実践的な知識を身につけられます。学生金型グランプリでは、事前解析を活用した「名刺入れの課題」で金賞を受賞するなど、教育効果が成果として表れているのも特徴。問い合わせへの迅速な対応や国産ソフトとしての信頼性も、高く評価されています。
早稲田大学 基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科では、金属3Dプリンターで造形した構造体内部に粉末を封入した粉体ダンパーの研究が進められています。従来手法では、粉体内部の運動やエネルギー損失を詳細に把握することが難しい課題がありましたが、
HyperWorksのEDEMを導入したことで粉体挙動を数値的に評価可能に。粉体の運動に伴うエネルギー損失の定量化が実現し、粉体を
内包した構造物の減衰特性をより精密に議論できるようになりました。
慶應義塾大学 理工学部 機械工学科・システムデザイン工学科では、モノづくりに必要な工学的理解を深めるため、授業内でCAEを活用しています。テニスラケットにボールが接触した際に生じる振動モードの構造解析や、曲がり管の角度による圧力損失の変化を評価する流体解析など、複数の物理領域を扱うカリキュラムを実施。学生はソフトの操作習得から結果の考察までをレポートとしてまとめており、教育環境の強化に向けて新しいサーバーマシンも導入されています。
北九州市立大学では、構想設計段階の方向性検討から実験装置の性能評価まで、CAEツールを多面的に取り入れています。初期フェーズでは、課題の難易度や実現可能性、競争力の見極めに解析を使い、設計判断の根拠を早期に確保。さらに、伝熱デバイスの性能評価に向けた実験装置の設計や、想定性能の達成可否を事前に確認する用途にも活用しています。実用化・商品化段階では、詳細設計や強度評価の検討にも役立ち、開発プロセス全体の精度向上に貢献しています。
愛知工業大学では、渦流の同定法や乱流・旋回流の解析など、流体力学分野の研究にCFDが用いられています。渦構造の定義や同定手法の検討、統一的な理論整理といった基礎研究に加え、チャネル乱流などの応用研究にもCFDを活用。さらに、物質・非物質を含む多様な流れの実験データを分析する際の評価ツールとしても活用され、研究の精度向上に寄与しています。
三重大学では、研究講座においてCFDを検討段階の解析手法として取り入れています。目的は、実験装置の設計概要を事前に把握し、現象に潜む課題や改善点を早期に抽出することです。たとえば、卒業研究ではガスタービン燃焼器の解析にCFDを活用。実験で発生した未燃水素を起因とするバックファイア現象について、さまざまなガス流入条件をシミュレーションで評価し、未燃水素が残らない
条件を特定しました。これを実験へ反映した結果、燃焼状態の安定化に成功し、CFDが有効に機能した事例となっています。
国立研究開発法人産業技術総合研究所では、粉体シミュレーションソフトを選鉱プロセスの研究に取り入れています。鉱物資源を岩石から分離する選鉱工程はコストが大きく、従来は経験則に依存する場面が多くありました。粉体シミュレーションソフト「iGRAF」を導入したことで、比重分離に関する挙動を可視化し、分離メカニズムの解明や装置条件の最適化に向けた客観的な検討が可能になっています。
CAEソフトは、教育から研究開発まで幅広い場面で活用され、学生の理解深化や研究の最適化に貢献。解析を通じて理論と実験を結びつけられ、複雑な現象の把握や設計判断の質向上につながります。教育・研究双方で不可欠な基盤として、その重要性は今後さらに
高まっていくと考えられるでしょう。
目的に合わせて選ぶ、
自社に合うCAEソフト
CAEソフト選定の鍵はスペックではなく、開発のどの場面で何を達成したいかです。上流での当たり付けか、詳細設計での精度確保か。フェーズごとの「やりたい検証」にフィットするCAEソフトを整理しました。
開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。
構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。
非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。
AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。
CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。
構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。
ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。
ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1
構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。
Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。
※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance)