CAEソフト導入支援ガイド【CAExplorer】 

CAEソフトのよくある失敗例

CAEを使い始めたばかりの頃は、解析が止まったり、結果が実験と合わなかったりして「何を直せば良いか分からない」状態になりがちです。大切なのは、よくある失敗パターンを知り、エラーメッセージとモデル設定を順番に確認して原因を切り分けることです。ここでは、CAEソフトで起きやすい失敗例と、対処の流れ、結果の妥当性チェックまでを一連で整理します。

CAEでよくある失敗パターン

CAE解析のトラブルは、まず「計算が回らない」か「回ったが結果が怪しい」のどちらかで現れます。よくある失敗例を最初に把握しておくと、次のチェックが速くなります。

  • メッシュ品質が悪い、要素サイズが不適切で収束しない
  • 境界条件や荷重の入れ方が不適切でエラーになる
  • 物性値や単位系の入力不足、入力ミスで計算が破綻する
  • 拘束条件の不足で剛体変位(剛体モード)が出る
  • 計算規模が大きく、メモリ不足で停止する

エラーが出て解析が止まると、設計に活かせないまま時間だけが消費され、工数が無駄になり得ます。まずは「どの種類の失敗に近いか」を当たりをつけ、確認箇所を絞るのが効率的です。

原因の切り分けのコツ

原因切り分けは、最初の順番が重要です。むやみに条件を触るより、情報を集めてから手を入れる方が早く解決できます。

  • 1)エラーメッセージを確認:どの工程(メッシュ作成、ソルバー、結果処理など)で止まったか、キーワード(未定義、非収束、負の体積など)を拾います。
  • 2)公式マニュアルやコミュニティで調べる:同じ文言のエラーが既知のケースとして整理されていることがあります。
  • 3)相談するときは状況を整理:熟練者やサポートに聞く場合は、「何を変えたか」「どの段階で止まるか」「再現手順」「入力データ(モデル、境界条件、メッシュ条件)」を添えると解決が早まります。

この流れに沿うと、同じタイプのエラーに再遭遇したときも、次に取る行動が明確になります。

モデル・メッシュ・境界条件・物性の「よくあるミス」チェックリスト

ここは「エラーになるかどうか」と「結果が正しそうかどうか」の両方に効くポイントです。特に、エラーが出なくても結果が変になるケースがあるため、毎回の確認が大切です。

  • 要素が連結していない、重複要素があり変位が不連続になる
  • シェル要素の法線方向が混在し、荷重や接触の向きが意図とずれる
  • 単位系の混在(mmとm、NとkNなど)で応力・変位のオーダーが崩れる
  • 物性値の入力漏れ、桁や単位のタイプミス
  • 仮の節点への拘束や荷重で、意図どおり拘束できていない
  • 拘束条件の不足で剛体モードが残り、解が不安定になる

「計算が完了した=正しい」とは限りません。計算が回った場合も、このチェックリストで怪しい点がないかを見直すと、後工程の手戻りを減らせます。

誤差の種類を理解して「実験と合わない」を減らす

CAEの結果には誤差が含まれる前提で扱う必要があります。誤差をゼロにするよりも、どの誤差が支配的かを見極めて、設計判断に使える精度に近づけることが現実的です。

誤差は、例えば次のように分類して考えると整理しやすくなります。

  • 形状の誤差:CADの簡略化、フィレットや穴の省略など
  • メッシュの誤差:離散化による誤差、要素品質の影響
  • モデル化の誤差:材料モデル、接触、拘束の近似
  • 計算の誤差:丸め・打ち切り・情報落ち・桁落ち、反復計算の誤差
  • 結果処理の誤差:応力外挿や平均化、評価位置の取り方

対処の方向性として、メッシュの見直し、モデルの仮定の再点検、収束条件の調整などに加え、必要に応じて倍精度ソルバーの利用を検討する場合もあります。ただし、精度を上げるほどメモリ消費が増えることがあるため、目的(何を判断したいか)と計算資源のバランスが重要です。

まとめ

まずは変位と応力のオーダーを確認するのが最優先です。怪しい結果が出たら「設定・単位・拘束・メッシュ」を疑い、原因を一つずつ潰していきます。失敗例を学び、切り分け手順とチェックを習慣化することで、CAEを設計改善に活かしやすくなります。

目的別
CAEソフトおすすめ3選

開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。

開発上流での高速な
複数案検証・当たり付け
シムスケール
SimScale
画像引用元:SimScale公式HP
(https://simscale.kke.co.jp/)
分散・並列実行で解析
を高速化

構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。

上流での即時検証と連携
が可能なクラウド設計

非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。

AIとサロゲートモデル
構築による効率化

AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。

CAD・CAM一体化による
手戻り抑制・内製効率化
オートデスク フュージョン
Autodesk Fusion
画像引用元:Autodesk Fusion 公式HP
(https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview)
開発ツールの統合で
手戻りを防ぐ

CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。

設計段階で性能と信頼性
を検証

構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。

設計業務を効率化するAI搭載

ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。

詳細設計〜最終判断のための
高精度再現・相関確保
アンシス
Ansys
画像引用元:Ansys公式HP
(https://www.ansys.com/ja-jp)
信頼性の高い解析精度と
品質保証体制に対応

ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1

高度なマルチフィジックス解析に対応

構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。

高負荷解析を支える
HPCとクラウド環境

Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。

※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance