高層ビルの建設や都市開発において、周囲の風環境に影響を与えるビル風の事前検証は欠かせません。本記事では、ビル風解析における代表的な評価基準や、CFD解析の仕組みについてわかりやすく解説します。
ビル風が周辺に与える影響を客観的に判断するためには、適切な基準に基づいた評価が必要です。ここでは、解析で用いられる主要な評価尺度について解説します。
日本における代表的な評価基準として、「村上らの尺度」が広く知られています。これは住民アンケートに基づき、「強風」と「その出現頻度」から風環境を4つのランクで評価する仕組みです。
実際の評価を行う際は、CFD解析によって得られた16風向のシミュレーション結果と、現地の気象データを組み合わせて計算します。この手順を踏むことで、その場所における強風の発生確率を客観的に算出することが可能です。
風環境を正しく把握するためには、単純なランク分けだけでなく、強風の出現頻度を「日数」で確認することが重要です。日数を詳細に分析することで、同じランク内であっても実際の風の強さを再確認できます。
また、建物を建設する前後で風向ごとの強風出現頻度をグラフ化し、比較することも欠かせません。このような地点別の詳細な分析を行うことで、ランク変化の要因を的確に突き止めることが可能になります。
ビル風の影響を事前に予測するためには、数値流体力学を用いたCFD解析が有効です。ここでは、解析時の設定や予測の手法について解説します。
CAEソフトを用いてCFD解析を行う場合、気流の乱れを再現する「乱流モデル」の設定が極めて重要になります。適切な設定を行わないと、現実の風環境とシミュレーション結果に大きな誤差が生じてしまいます。
そのため、建築周辺の複雑な気流を正確に予測するには、RANS系のモデルやLES系のモデルといった、高精度な乱流モデルを使用することが推奨されています。
村上らの尺度などの評価基準では、「日最大瞬間風速」という指標が用いられます。しかし、一般的なCFD解析では、瞬間的な風速の変動を直接予測することは技術的に困難です。
そこで、シミュレーションではまず平均風速を求め、そこにガストファクタ(GF)と呼ばれる係数を乗じることで、日最大瞬間風速へ換算する計算手法が採用されています。この手順により、評価基準に適合した正確な数値を得ることができます。
従来、ビル風解析は専門業者への外部委託や大規模な計算機環境が必要であり、設計者にとってハードルの高い業務でした。しかし、近年のクラウド型などをはじめとするCAEソフトの進化により、設計者自身が自社で手軽に解析を行えるようになっています。
設計者が自らCAEソフトを導入する主なメリットは以下の通りです。
このように、CAEソフトを活用すれば、設計の初期段階からスピーディに風環境の確認と改善策の検討が可能になります。
ビル風問題による周辺環境への影響を防ぐためには、「村上らの尺度」などの適切な基準を用いた正確な検証が不可欠です。
近年では、CAEソフトを活用することで、設計者自らが手軽かつ高精度に風環境シミュレーションを実施できるようになっています。設計プロセスの効率化と品質向上のために、自社へのCAEソフト導入をぜひ検討してみてください。
開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。
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※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance)