CAEソフト導入支援ガイド【CAExplorer】 

CAEソフトの線形静解析

線形静解析とは何か

CAEソフトの活用を検討する際、強度評価の基本となるのが線形静解析です。これは構造物に一定の荷重が作用した際の内力と外力のつり合い状態を計算する手法となります。
解析を実施することで、変位や応力、ひずみ、反力などの結果が得られます。製品が荷重に耐えうるかを判断するための基本的な手段と言えるでしょう。

線形静解析を適用できる条件

線形静解析は、いかなる条件でも万能というわけではありません。適用できるのは、応力とひずみが比例する「弾性変形」の範囲に限定されます。
初期状態で立てた方程式を解く仕組みであるため、初期位置からつり合い状態に至るまでの材料特性や、荷重の値・方向の変化は考慮されません。

弾性変形領域と線形性の関係

応力とひずみが比例関係になる範囲を弾性変形領域と呼びます。
この関係はフックの法則として「σ=Eε(E:縦弾性係数またはヤング率)」という数式で表されます。この比例関係が成り立つことが解析の前提条件となります。

解析結果の評価指標と読み方

解析によって得られる結果を正しく読み解くことが重要です。主に荷重と拘束によって発生した変位、応力、ひずみ、接触結果などを評価指標とします。

応力とひずみの基礎公式

材料に引っ張り力が作用したときの元の長さに対する伸びの割合を「ひずみ」と呼び、ε=ΔL/Lで計算します。逆に圧縮力が加わった場合はε=-ΔL/Lとなります。
一方、材料内部に発生する単位面積当たりの内力が「応力」です。応力は前述のσ=Eεのほか、引っ張り力Pと断面積Aを用いてσ=P/Aでも求められます。

発生応力と降伏応力の比較による強度評価

実務で強度が安全かを判断するにはどうすればよいでしょうか。
弾性材料を定義した線形解析を実施し、計算された応力結果と材料固有の降伏応力を比較することで、塑性(降伏点を超えた後の残留ひずみ)に至るかどうかを判断できます。この評価において、塑性材料の定義は不要です。

実務における活用シーンと導入のメリット

実務においてCAEソフトを導入することは、大きなビジネス上の利点をもたらします。耐久評価などで不具合が発生した際、その対策検討に線形静解析を活用することで、次設計での問題を未然に防ぐことが可能です。
設計の初期段階から課題を発見できるため、結果として試作回数や費用の削減、さらには開発のローコスト化や短期間化につながります。

まとめ

線形静解析は、製品の強度を予測し設計の妥当性を検証するための強力な手法です。弾性変形領域という適用条件を正しく理解し、応力やひずみの結果を適切に評価することで、設計の質は大きく向上します。
試作と実験に頼るプロセスから脱却し、CAEソフトを用いた事前のシミュレーションを取り入れることで、効率的で確実なものづくりが実現できるはずです。

目的別
CAEソフトおすすめ3選

開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。

開発上流での高速な
複数案検証・当たり付け
シムスケール
SimScale
画像引用元:SimScale公式HP
(https://simscale.kke.co.jp/)
分散・並列実行で解析
を高速化

構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。

上流での即時検証と連携
が可能なクラウド設計

非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。

AIとサロゲートモデル
構築による効率化

AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。

CAD・CAM一体化による
手戻り抑制・内製効率化
オートデスク フュージョン
Autodesk Fusion
画像引用元:Autodesk Fusion 公式HP
(https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview)
開発ツールの統合で
手戻りを防ぐ

CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。

設計段階で性能と信頼性
を検証

構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。

設計業務を効率化するAI搭載

ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。

詳細設計〜最終判断のための
高精度再現・相関確保
アンシス
Ansys
画像引用元:Ansys公式HP
(https://www.ansys.com/ja-jp)
信頼性の高い解析精度と
品質保証体制に対応

ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1

高度なマルチフィジックス解析に対応

構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。

高負荷解析を支える
HPCとクラウド環境

Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。

※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance