製品開発では、初期段階から全体像を捉えて機能や性能を検討することが重要です。1DCAEは、上流段階から適用可能な全体適正設計の考え方となります。本記事では、基本概念や導入効果、従来の3D-CAEとの役割の違いについて解説します。
1DCAEにおける1Dとは、一次元という形状の次元を指す言葉ではありません。物事の本質を的確に捉え、シンプルに表現するという意味が込められています。機能ベースで評価するアプローチです。
1DCAEが提案された背景には、従来の設計プロセスが抱える課題があります。詳細な形状が決まった後半にシミュレーションを行うことが多く、問題発覚時の手戻りが大きな負担となっていました。概念設計などの上流段階から適用できる全体適正設計の枠組みが求められたのです。
1DCAEと3D-CAEは役割が明確に異なります。1DCAEが製品全体の機能を考える全体適正設計を担うのに対し、3D-CAEは具体的な形や構造を考える個別最適設計を担う役割です。
製品開発では、1DCAEで目標設定や方向付けを行い、3D-CAEで構造設計・配置設計を進めるという連携が想定されています。両者は車の両輪のような関係性を持ちます。上流で本質を見極め、下流で精緻に作り込むことで、両者を連携させた製品開発が可能です。
設計の早い段階で問題点を発見し、開発後期の手戻りを抑えられます。部分最適ではなく、システム全体を見通した価値の最大化とコスト・リスクの最小化につなげましょう。
メカ・エレキ・ソフトなど異なる分野を横断して設計仕様を策定できます。分野間の連携を促し、システム全体の抜け漏れや設計上のムリ・ムダの防止が可能です。
システム全体を対象とするため、専門分野以外の知識や物理現象への理解も求められます。能動的な学習を促す効果が期待されるでしょう。
適用プロセスにおいて、目的別に3つのデザインが定義されています。
Must設計は、デザイン保証が必須の設計で、リスクの最小化を目的とする設計です。
Better設計は、コスト最小化、開発期間の最短化、性能最大化を目的としています。
Delight設計は、顧客の潜在的なニーズを捉え、心地よさなどの魅力品質を高めることを目的とする設計です。
3つの設計を目的に応じて使い分けることが重要です。
全体適正設計を実践するには、製品ライフサイクル全体で価値向上を図るDfXのアプローチが重要です。
具体的には、顧客の声を機能や部品に展開するQFD(品質機能展開)、故障モードなどからリスクを評価するFMEA(故障モード影響解析)、設計情報の流れを可視化するDSM(Design Structure Matrix)などが活用されます。
1DCAEは、手戻りの削減や分野横断的な全体効率化、新たな価値の創造につながる全体適正設計の考え方です。自社の製品開発プロセスに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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