無料・オープンソースなら導入費用を抑えられますか?
ライセンス費だけで判断はできません。環境構築、教育、モデル作成、妥当性確認、更新、障害対応に使う社内工数と外部支援費を含めて比較します。
THERMAL FLUID SOFTWARE GUIDE
熱流体解析ソフトは、製品数だけでなく比較単位もばらばらです。単体ソルバー、複数製品を束ねたポートフォリオ、CAD統合型、オープンソースを同じ表で単純に順位付けしても、自社に合う候補は見つかりません。
先に決めるべきなのは、再現したい現象、設計変更とのつながり、解析を維持できる体制です。この記事では10製品の基本スペックと価格条件を整理し、候補をPoCへ進めるための判断基準まで示します。
最初から製品名を比べると、機能表の丸印が多い候補へ引っ張られます。候補選定は、実務で繰り返し発生する代表課題を一つ決め、その課題に必要な物理モデル、形状準備、計算時間、結果の評価方法を明文化するところから始めます。
現象を定義する → 作業フローを決める → 運用条件で絞る → 同じ課題でPoCする
設計者が形状変更のたびに傾向を確認するなら、CAD統合や準備工数が重要です。専任者が燃焼、混相流、移動境界などを詳細に扱うなら、モデルの適合性、メッシュ制御、計算資源、専門支援の比重が上がります。同じ「熱流体解析」でも、優先すべき条件は利用者と現象で変わります。
熱流体解析は、液体や気体の流れと温度変化を同時に計算し、速度、圧力、温度、熱流束などを確認する方法です。熱の移動には固体内部の熱伝導、流れが熱を運ぶ対流、電磁波として熱が伝わる放射があります。製品の冷却、配管の圧力損失、室内空調、外部空力などでは、必要な現象の組み合わせが異なります。
| 条件 | 決める内容 | PoCで見る指標 |
|---|---|---|
| 目的 | どの設計判断に使うか | 結果から合否を判断できるか |
| 対象現象 | 流れ、伝熱、放射、混相流など | 必要モデルと境界条件を設定できるか |
| 形状 | CAD形式、形状変更頻度、モデル規模 | 修正から再計算までの準備時間 |
| 精度 | 実験値、既存計算、社内基準 | 誤差と傾向を説明できるか |
| 計算環境 | PC、サーバー、クラウド、並列計算 | 許容時間内に完了するか |
| 利用者 | 設計者、解析専任者、研究者 | 別担当者が同じ手順を再現できるか |
| 支援 | 教育、問い合わせ、受託、カスタマイズ | 問題発生時の解決経路があるか |
精度はソフト名だけで決まりません。形状の簡略化、物性値、境界条件、メッシュ、時間刻み、収束判定、実験との照合まで含めて評価します。操作できることと、結果の妥当性を説明できることは別です。
単体製品、製品群、CAD統合型、オープンソースでは価格の前提が異なります。価格は2026年8月14日時点です。公式サイトで価格が公開されていない製品は「要問い合わせ」としています。
※2026年8月14日12:00時点で、Google検索にて「熱流体解析ソフト」と検索して、公式サイトが表示されたソフト上位10ツールを紹介します。
| 製品 | 区分 | 公式公開価格 | 主な選定軸 |
|---|---|---|---|
| SOLIDWORKS Flow Simulation | SOLIDWORKS統合型 | 要問い合わせ | SOLIDWORKS設計との往復 |
| Ansys Fluids | 流体解析製品群 | 要問い合わせ | 製品群のため、個別製品を決めてから価格・OSを比較 |
| KeyFlow | 一体型パッケージ | 90万円+消費税、2年目以降保守年30万円+消費税 | 公開価格と一連の解析環境 |
| PHOENICS | 汎用3次元CFD | 特定Core構成の初期導入参考198万円、税区分不明 | パッケージとライセンス方式 |
| Simcenter | 流体・熱製品群 | 要問い合わせ | 製品群のため、個別製品を決めてから価格・OSを比較 |
| Flowsquare+ | Windows向けツール | Professional 月額10,450円から、税区分・条件要確認 | プラン条件と商用利用 |
| FLOW-3D | 非定常3次元CFD | 要問い合わせ | 自由表面・2流体界面 |
| OpenFOAM | オープンソースCFD | Foundation版本体は無償 | 配布系統と自社運用力 |
| FloEFD | CAD統合型CFD | 要問い合わせ | 利用CADと必要モジュール |
| CONVERGE | 自動メッシュ型CFD | 要問い合わせ | 移動形状・燃焼・噴霧と実行環境 |
| 製品区分 | SOLIDWORKS 3D CAD統合型CFD |
|---|---|
| 主な解析対象 | 設計内部・周囲の液体/気体流れ。HVAC、電子機器冷却向け構成あり |
| CAD・連携 | SOLIDWORKSモデルを同一環境で使用 |
| 動作環境 | 2026基盤はWindows 11 64bit、x86_64、メモリ16GB以上・32GB推奨、認定GPU |
| ライセンス | 期間・認証方式は要問い合わせ |
| 価格 | 公式サイトでは価格非公開。要問い合わせ |
| 支援・評価 | デモ、トレーニング、保守条件を公式窓口または販売代理店へ確認 |
| 向いているケース/確認点 | SOLIDWORKSで形状変更と解析を往復したい設計部門。必要モジュール、バージョン、代表モデルのメモリを確認 |
※参照元:SOLIDWORKS(https://www.solidworks.com/ja/product/solidworks-flow-simulation)/システム要件(https://www.solidworks.com/ja/support/system-requirements)/問い合わせ(https://discover.solidworks.com/ja/inquiries-about-solidworks-flow-simulation-input-form)
| 製品区分 | Fluent、CFX、Rockyなどを含む流体解析製品群 |
|---|---|
| 主な解析対象 | 汎用CFD、ターボ機械、粒子、熱・反応系など。製品ごとに異なる |
| CAD・連携 | 個別製品と導入構成ごとに確認 |
| 動作環境 | Windows/Linux等の対応は製品別表で確認。2026 R1は複数のLinux環境を掲載 |
| ライセンス | 製品別の形態・期間を要問い合わせ |
| 価格 | 公式サイトでは価格非公開。要問い合わせ |
| 支援・評価 | 公式ページに30日間無料トライアルと問い合わせ窓口あり |
| 向いているケース/確認点 | 複雑な解析対象から必要製品を選びたい組織。「Ansys一式」ではなく製品・機能・OSを固定して見積もる |
※参照元:Ansys Fluids(https://www.ansys.com/ja-jp/products/fluids)
| 製品区分 | モデラー・ソルバー・可視化の一体型パッケージ |
|---|---|
| 主な解析対象 | 熱を考慮した流れ、大気拡散、ビル風、室内空調、配管内部流れ |
| CAD・連携 | 3D CADファイルを利用。KeyModel、KeyFlow、KeyPlotをセット提供 |
| 動作環境 | Intel Core i5以上、メモリ8GB以上、空き容量100GB以上。Windows 11の正式対応は要確認 |
| ライセンス | 永久使用許諾 |
| 価格 | 90万円+消費税。初年度サポート込み。2年目以降の保守は年30万円+消費税 |
| 支援・評価 | 継続保守に更新、搭載マシン変更、サポートページ、メール質問を含む |
| 向いているケース/確認点 | 公開価格と一連の解析環境を重視する場合。Windows 11、モデル規模、並列計算、保守空白時の条件を確認 |
※参照元:KeyFlow(https://www.kagiken.co.jp/keyflow/)/価格(https://www.kagiken.co.jp/keyflow/price/)/動作環境(https://www.kagiken.co.jp/keyflow/openv/)
| 製品区分 | 複数パッケージを持つ汎用3次元CFD |
|---|---|
| 主な解析対象 | 熱流動、自由表面、化学反応、二相流など。構成により異なる |
| CAD・連携 | CAD連携を重視するRhinoCFDなど。必要インターフェースを確認 |
| 動作環境 | Windows 10/11、Windows Server 2022、CentOS、Ubuntu。メモリ4GB以上、HDD 10GB以上推奨 |
| ライセンス | 永久使用許諾または年間レンタル。USB、ネットワーク、ノードロック |
| 価格 | 一般企業向けCore・64bit Windows・Single coreの参考例:ライセンス165万円+年保守33万円、初期導入198万円。税区分不明 |
| 支援・評価 | 保守に更新、Q&A、バグ修正などを含む。試用条件は要確認 |
| 向いているケース/確認点 | OS、契約方式、認証方式を選びたい場合。必要パッケージ、並列コア、税区分を固定して見積もる |
※参照元:PHOENICS(https://www.phoenics.co.jp/products.htm)/価格・契約(https://www.phoenics.co.jp/expense.htm)/動作環境(https://www.phoenics.co.jp/phoenics-spec.htm)
| 製品区分 | STAR-CCM+、FLOEFD、EDEMなどを含む製品ポートフォリオ |
|---|---|
| 主な解析対象 | 流体・熱、CAD組み込みCFD、粒子など。個別製品で異なる |
| CAD・連携 | 個別製品ごとに異なる |
| 動作環境 | Simcenter共通環境は設定できない。候補製品ごとに確認 |
| ライセンス | 製品別。契約・同時利用条件を要問い合わせ |
| 価格 | 公式サイトでは価格非公開。要問い合わせ |
| 支援・評価 | 一部製品で試用・デモとライセンス取得後サポートを案内 |
| 向いているケース/確認点 | 流体・熱・粒子を製品群から選びたい組織。製品名、OS、ライセンス、連携構成を先に固定 |
※参照元:Simcenter 流体・熱シミュレーション(https://www.siemens.com/ja-jp/products/simcenter/fluids-thermal-simulation/)
| 製品区分 | Windows向け熱流体解析ツール |
|---|---|
| 主な解析対象 | 流れ場、温度場、濃度分布 |
| CAD・連携 | 画像による境界条件設定、STL形状入力 |
| 動作環境 | 2026R1.0、Windows 10/11 |
| ライセンス | Trial、Professional、Studentなど。Trial以外の個人ライセンスは利用者ごとに発行 |
| 価格 | Professional 月額10,450円から。税区分・プラン条件は公式価格ページで要確認 |
| 支援・評価 | Trialは評価検証用で商用不可。技術相談、受託解析、研修などを案内 |
| 向いているケース/確認点 | Windowsで初期検討したい場合。商用利用、解析規模、複数人利用、プラン機能差を確認 |
※参照元:Flowsquare+(https://fsp.norasci.com/)
| 製品区分 | 非定常流れを扱う汎用3次元CFD |
|---|---|
| 主な解析対象 | 自由表面、2流体界面、相変化、流体構造連成など |
| CAD・連携 | 解析設定からポスト処理までのフルパッケージ。入力条件は要確認 |
| 動作環境 | 選択バージョンのWindows/Linux、CPU、GPU、メモリ要件を販売元へ確認 |
| ライセンス | 契約期間・認証方式を要問い合わせ |
| 価格 | 公式サイトでは価格非公開。要問い合わせ |
| 支援・評価 | 教育、評価版、並列計算、追加モデルの条件を見積時に確認 |
| 向いているケース/確認点 | 液面変動や充填など界面挙動が重要な課題。用途別構成と必要物理モデルを確認 |
※参照元:FLOW-3D(https://www.flow3d.co.jp/products/flow-3d/index.htm)
| 製品区分 | 無償・オープンソースCFD |
|---|---|
| 主な解析対象 | 流体運動、熱伝達、熱力学、化学など |
| CAD・連携 | CAD直接連携は構成・外部ツールを含めて確認 |
| 動作環境 | v14はUbuntu 22.04/24.04/26.04。WindowsはWSL上、macOSはMultipass上のUbuntuを使用 |
| ライセンス | GNU GPLv3。配布系統の違いに注意 |
| 価格 | Foundation版本体は無償。PC、構築、移行、教育、保守は別費用になり得る |
| 支援・評価 | 国内のOpenFOAM向けPC・導入相談は価格非公開。要問い合わせ |
| 向いているケース/確認点 | Linux基盤で解析手順やコードを管理・拡張できる組織。版、更新元、検証、保守担当を固定 |
※参照元:The OpenFOAM Foundation(https://openfoam.org/download/)/国内関連サービス(https://mfrdx.applied-g.com/catalogue_list/sciencetech/catalogue_list-5681/)
| 製品区分 | CAD統合型マルチフィジックスCFD |
|---|---|
| 主な解析対象 | 流体流れ、熱伝達、電子機器冷却、自動メッシュなど |
| CAD・連携 | NX、Solid Edge、CATIA、Creoに統合し、ネイティブ形状を使用 |
| 動作環境 | 利用CAD、FLOEFDエディション、版ごとに要確認 |
| ライセンス | 方式・期間・CAD別条件を要問い合わせ |
| 価格 | 公式サイトでは価格非公開。要問い合わせ |
| 支援・評価 | Siemens公式に試用導線あり。国内サポート・教育条件は取扱元へ確認 |
| 向いているケース/確認点 | 対象CAD内で設計変更と熱流体評価を往復したい場合。CAD版ごとの機能差と必要モジュールを確認 |
※参照元:Siemens(https://www.siemens.com/ja-jp/products/simcenter/fluids-thermal-simulation/floefd/)/国内製品情報(https://www.it-ac.co.jp/fw1002/fw0126/dx0611.html)
| 製品区分 | 実行時自動メッシュ型CFD |
|---|---|
| 主な解析対象 | 複雑な移動形状、共役熱伝達、噴霧、燃焼など |
| CAD・連携 | 現行入力形式は要問い合わせ |
| 動作環境 | CONVERGE 5はWindows 10以降、RHEL・Ubuntu・Rocky Linuxなどの主要Linux |
| ライセンス | オンプレミスとCONVERGE Horizonの従量利用。詳細条件は要問い合わせ |
| 価格 | ソフト価格・Horizon単価とも公式サイトでは非公開。要問い合わせ |
| 支援・評価 | 国内技術サポート、セミナー、数値解析教育を案内。範囲・費用は要確認 |
| 向いているケース/確認点 | 移動形状、噴霧、燃焼を扱い、オンプレミスと従量クラウドを比較したい場合。必要資源と単価を代表モデルで確認 |
※参照元:Convergent Science(https://convergecfd.com/products/converge-cfd-software/)/国内提供情報(https://www.idaj.co.jp/product/converge/sysreqs/)
トライアルやベンチマークでは、各社に同じ形状、物性値、境界条件、評価位置、合格基準を渡します。ソフトごとに得意な設定方法が違うため、操作を完全に同一にする必要はありません。ただし、入力条件と判断基準はそろえます。
一つでも満たせない場合は、追加機能、教育、外部支援で解消できるかを確認します。解消費用と運用負担を含めて初めて候補同士を比べられます。
ライセンス費だけで判断はできません。環境構築、教育、モデル作成、妥当性確認、更新、障害対応に使う社内工数と外部支援費を含めて比較します。
使いやすさは、利用CAD、解析経験、対象現象、支援体制で変わります。画面操作だけでなく、代表課題を別担当者が再現できるか、結果の妥当性を説明できるかで評価してください。
設計変更のたびに傾向を確認するならCAD統合型を候補にしやすく、専任者が複雑な物理モデルや詳細な計算条件を扱うなら汎用CFDを検討しやすくなります。ただし名称だけで分けず、代表課題で必要機能と作業時間を確認します。
課題を特定せずに精度順位は付けられません。同じ実験値、境界条件、評価位置を使い、メッシュや時間刻みに対する感度も含めて比較します。
熱流体解析ソフトの選定では、機能数や知名度よりも、自社の代表課題を許容時間内に再現し、結果を説明できることが重要です。現象、CADとの作業導線、利用者、計算環境、支援範囲を固定し、同じ条件でPoCを行えば、10製品を「高機能かどうか」ではなく「自社で使い続けられるか」で絞れます。
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※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance)