CAEソフト導入支援ガイド【CAExplorer】 

CAEの計算時間を短縮する方法

CAE ANALYSIS TIME GUIDE

CAEの計算時間を短縮するには?
モデル・設定・計算環境を原因別に見直す

CAEの計算がなかなか終わらず、次の設計案を試せない。そんなとき、すぐにコア数を増やしても、期待したほど速くならないことがあります。細かすぎるメッシュ、時間刻み、並列計算の効率など、時間がかかる理由は解析ごとに違うからです。

まず、速くしたいのは1ケースの計算なのか、複数案の比較が終わるまでなのかを決めましょう。目標が違えば、選ぶ対策も変わります。

01短縮したい時間を先に決める

1件の解析が長いなら、モデル、計算条件、実行環境を調べます。複数案の比較に時間がかかるなら、条件を変える手作業や、ジョブを同時に実行できる数にも目を向けましょう。1件を速く解くための並列計算と、複数件を同時に走らせることは別です。

比較する二つの時間

1ケースの計算時間 / 全案の投入から結果確認までの時間

設計案を比べたい場合、1件の計算時間だけが短くなっても、全案の結果がそろう時刻が変わらなければ目的は達成できません。どちらの時間を減らすのか、先に決めておきましょう。

02どの工程が長いか、実測で切り分ける

普段使っているモデルを一つ選び、形状準備、メッシュ作成、計算実行、結果確認にかかった時間を書き出してみましょう。計算実行が長ければ、要素数、時間ステップ、反復回数、使用コア数、ピークメモリを確認します。

計算が収束せず再実行を繰り返しているなら、計算機の性能を上げる前に、その原因を調べたいところです。速く解ける環境を用意しても、設定が原因の手戻りは残ります。

時間がかかる工程から、確認先を絞る
長い工程確認する項目対策の候補
メッシュ作成・計算細部形状、要素数、局所の細分化目的に照らした形状整理、メッシュ感度の確認
時間依存の計算時間刻み、許容誤差、反復回数結果の妥当性を見ながら設定を検証
複数案の比較条件変更の手作業、同時実行数パラメータースタディ、自動化、複数ジョブ実行

03モデルと計算条件を見直す

評価に関係しない細部を整理する

小さな穴や面のために、その周辺だけメッシュが細かくなっていませんか。

応力集中や流れを左右する形状まで削ってはいけません。形状を変える前後で、設計判断に使う値を比べましょう。

メッシュを粗くする前に、結果の変化を確かめる

メッシュを粗くすると計算負荷を下げられますが、必要な精度まで失うおそれがあります。サイズを段階的に変え、重要な評価量がどれだけ変わるか確認しましょう。物理条件が対称なら、計算領域を小さくできる場合もあります。

時間刻みや収束条件を一律に緩めない

時間依存解析では、小さい時間刻みや非線形計算の反復が実行時間に影響します。とはいえ、許容誤差を緩めれば必ず速くなるわけではありません。確認したい現象の時間スケールを踏まえ、設定変更の前後で結果と実行時間を一緒に見ましょう。

04計算資源は代表モデルで効果を測る

CPUのコア数を2倍にしても、計算時間が半分になるとは限りません。Ansys OpticsのFDTD計算でも、コア数を増やしたときの速度向上はモデルや構成に左右されます。増設を決める前に、同じモデルでコア数を変え、実行時間を比べましょう。

GPUも同様です。搭載するだけで、すべてのCAE計算が速くなるわけではありません。利用中の解析種で使えるかを確認し、効果は実測で判断しましょう。

05複数案の検証では、条件の自動変更と同時実行を分けて見る

寸法や材料などを変え、複数の設計案をまとめて検証できるCAEもあります。たとえばAnsys Discoveryは、パラメータースタディを使った複数案の検討を案内しています。

ここで確かめたいのは、複数案を設定できることと、複数案を同時に計算できることの違いです。条件を自動で変えられても、計算は一件ずつ進む方式があります。

同時実行には、使用可能なコア数、メモリ、ライセンスの条件が伴います。

複数案の比較が目的なら、製品の「パラメータースタディ対応」という表示だけで決めず、変えられる条件、実行方式、同時実行数、結果を比較する方法まで確認しましょう。

06短縮策は精度・総所要時間・費用で比べる

普段使うモデルを一つ選び、現在の結果と所要時間を基準として残しましょう。モデル、メッシュ、設定、計算資源を一度に変えると、何が効いたのか分かりません。一つずつ試すと判断しやすくなります。

複数案を扱う場合は、各案の計算時間に加え、全案の結果がそろうまでの時間も測ってください。比較には次の項目を使えます。

  • 同じ評価量で、結果が許容範囲に収まるか
  • 形状準備から結果確認まで何時間かかるか
  • 全案の比較が終わるまで何時間かかるか
  • ライセンス、計算機、クラウド利用、担当者の工数はいくらか

目指すのは、最速の設定そのものではありません。設計判断に必要な精度を保ち、期限までに必要な案を比べられることを合格条件にしましょう。

07CAEの計算時間に関するよくある質問

コア数を2倍にすれば計算時間は半分になりますか?

そうとは限りません。ソルバーとモデルによって並列計算の効率が変わります。まずは同じ解析でコア数を変えて測りましょう。

複数案を検証できるCAEなら、すべて同時に計算できますか?

製品と実行方式によります。条件を自動で順番に評価する機能と、複数ジョブを同時に走らせる機能は分けて確認してください。コア、メモリ、ライセンスの上限も見ておきましょう。

1件の速さと、設計案を比較し終える速さを分けて判断する

まずはモデルと設定を見直し、計算資源の増強は代表モデルで効果を測ってから判断しましょう。複数案を検討したいなら、パラメータースタディの有無に加え、同時実行の条件まで確認してください。

目的に合わせて選ぶ、
自社に合うCAEソフト

CAEソフト選定の鍵はスペックではなく、開発のどの場面で何を達成したいかです。上流での当たり付けか、詳細設計での精度確保か。フェーズごとの「やりたい検証」にフィットするCAEソフトを整理しました。

目的別
CAEソフトおすすめ3選

開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。

開発上流での高速な
複数案検証・当たり付け
シムスケール
SimScale
画像引用元:SimScale公式HP
(https://simscale.kke.co.jp/)
分散・並列実行で解析
を高速化

構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。

上流での即時検証と連携
が可能なクラウド設計

非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。

AIとサロゲートモデル
構築による効率化

AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。

CAD・CAM一体化による
手戻り抑制・内製効率化
オートデスク フュージョン
Autodesk Fusion
画像引用元:Autodesk Fusion 公式HP
(https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview)
開発ツールの統合で
手戻りを防ぐ

CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。

設計段階で性能と信頼性
を検証

構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。

設計業務を効率化するAI搭載

ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。

詳細設計〜最終判断のための
高精度再現・相関確保
アンシス
Ansys
画像引用元:Ansys公式HP
(https://www.ansys.com/ja-jp)
信頼性の高い解析精度と
品質保証体制に対応

ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1

高度なマルチフィジックス解析に対応

構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。

高負荷解析を支える
HPCとクラウド環境

Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。

※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance)