OPENFOAM ADOPTION GUIDE
OpenFOAMを導入するとき、負担になりやすいのは、設定方法の習得、実行環境の準備、困ったときの対応や引き継ぎです。特に、画面の案内に沿って解析を進める環境に慣れていると、設定ファイルやコマンドを使う操作を覚える時間も見込む必要があります。
判断したいのは、どの作業を社内で担い、どこを外部のツールや支援で補うかです。自社の解析を一件試し、設定から結果の確認までに必要な作業を把握すると、導入後の運用を考えやすくなります。
The OpenFOAM Foundation版の公式チュートリアルでは、入力ファイルを編集して条件を設定し、ターミナルから解析を実行します。結果をParaViewで可視化する手順も案内されています。
画面上の項目を選んで条件を入力する方式に慣れている場合、どのファイルの何を変更するのかを覚える作業が加わります。試用では、付属ケースを動かした後、自分で条件を変更し、その変更が結果にどう反映されたかまで確かめてみてください。
使い始めは、付属ケースと既存のソルバーを利用できます。独自のソルバーやライブラリをC++で拡張する段階では開発作業が伴いますが、基本操作の習得と、独自プログラムの開発は分けて考えましょう。
また、OpenFOAMの設定をGUIから行う外部ツールもあります。画面で操作したい場合は、対象の解析機能や使用する版に対応しているか、費用はどうなるかを含めて比較する余地があります。
※参照元URL:The OpenFOAM Foundation/CFD Direct(公式チュートリアル、アプリケーション・ライブラリの開発)、先端力学シミュレーション研究所(OpenFOAM向けGUIの紹介)
導入時には、使用する配布元とバージョン、OS、周辺ツールを決めます。業務用の環境として、インストールや更新を誰が担当するかも整理しておきたいところです。
Windowsで使う方法も公開されています。The OpenFOAM Foundationの公式案内では、Windows上にWSL2とUbuntu環境を用意する手順を紹介しています。社内のPCでこの環境を利用できるか、インストール権限や運用ルールも含めて確かめてください。
Foundation版のユーザーガイドは、バージョンごとに公開されています。解説記事やサンプルを参照するときは、自分が使う配布元・版に対応した内容かを確認しましょう。使用環境と解析ケースを記録しておくことは、後から同じ計算を再現する際の助けにもなります。
※参照元URL:The OpenFOAM Foundation(Windowsでの実行方法)、The OpenFOAM Foundation/CFD Direct(バージョン別のユーザーガイド)
設定の意味が分からない、計算が途中で止まるといったとき、誰が調べて判断するのかを決めておきます。社内で調べる時間をどこまで取るか、外部へいつ相談するかは、結果が必要な期限から逆算しましょう。
OpenFOAMには、有償で技術支援を提供する企業もあります。たとえばソフトフローは、使用方法、インストール、カスタマイズ、サンプルケースの解析、ParaViewなどの操作を支援対象として案内しています。
支援を検討する際は、対応するバージョン、相談できる内容、回答までの目安、費用を確認してください。導入時の設定支援が欲しいのか、解析条件や結果の検討まで相談したいのかで、依頼内容は変わります。
社内に残すのは、操作手順だけではありません。設定を変えた理由、結果を判断した根拠、更新時に確認する項目も記録しておくと、チームで扱うための資料になります。
※参照元URL:ソフトフロー(OpenFOAM技術サポート)
OpenFOAM本体は無償で配布されています。業務で使うために必要な環境の準備や、設定の習得にかかる工数も見積もっておきましょう。
既存の計算機や社内の知見を使える部分と、新しく準備する部分を分けて見積もりましょう。外部のツールやサービスを利用する場合は、その費用と契約範囲も含めます。
他の解析環境と比べる際も、同じ解析目的に対して、準備・計算・結果確認・保守までをそろえて比較するのが基本です。ソフトウェアの利用料だけを並べると、担当者が担う作業量の違いを見落としかねません。
※参照元URL:The OpenFOAM Foundation(OpenFOAMの無償配布について)
OpenFOAMはソースコードを確認・変更できるため、自社の目的に合わせた開発を考える際にも候補になります。一方、日常の解析でどこまで設定や保守を担えるかによって、使いやすい構成は変わります。
| 自社の状況・希望 | 検討する使い方 | 導入前の確認点 |
|---|---|---|
| 解析対象が定まり、設定を管理できる担当者がいる | OpenFOAMを使う運用を試す | 既存ソルバーの適合、結果の検証、引き継ぎ方法 |
| 独自の機能やモデルを開発したい | 公開されたソースを使う拡張を検討する | 開発・検証・更新を担当できるか |
| 画面上で解析条件を設定したい | OpenFOAM向けGUIを含めて比較する | 対応機能、バージョン、設定できる範囲、費用 |
| 社内だけで調査や教育に時間を割きにくい | 支援サービスとの組み合わせや、別の解析環境も比較する | 支援範囲、回答の目安、社内に残る作業 |
ほかの無償ツールも候補にする場合は、対応する解析の範囲と、設定・結果確認までの手順を比べてみてください。
※参照元URL:The OpenFOAM Foundation(ソースコードの公開とカスタマイズ)、先端力学シミュレーション研究所(OpenFOAM向けGUIの紹介)、ソフトフロー(技術支援の提供内容)
まず付属ケースで操作を確かめ、その後、業務に近いモデルで設定から結果確認まで進めてみましょう。試用で確かめたいのは、計算が終了することに加え、次の点です。
結果の妥当性を確かめる作業は、CFDを業務で使ううえで共通して必要です。実行できたかだけでなく、設計判断に使える根拠をそろえられるかまで見ておきます。
試用で時間がかかった作業や、社内だけでは判断が難しかった点が分かれば、学習を進める範囲、外部へ依頼する範囲、比較する別の環境を具体的に決められます。
OpenFOAMの導入では、操作の習得、実行環境の管理、相談先、引き継ぎに必要な準備を見込んでおきましょう。GUIや技術支援も選択肢に含め、自社の解析を一件試して、必要な作業と結果の確かめ方を把握することが、無理のない運用を考える出発点になります。
目的に合わせて選ぶ、
自社に合うCAEソフト
CAEソフト選定の鍵はスペックではなく、開発のどの場面で何を達成したいかです。上流での当たり付けか、詳細設計での精度確保か。フェーズごとの「やりたい検証」にフィットするCAEソフトを整理しました。
開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。
構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。
非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。
AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。
CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。
構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。
ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。
ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1
構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。
Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。
※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance)