CAEソフト導入支援ガイド【CAExplorer】 

座屈解析とは?

構造物に荷重がかかり続けると、ある時点で急激に折れ曲がる「座屈」現象が起こり得ます。設計段階でこのリスクを防ぐために重要なのが座屈解析です。構造物の歪みや破壊を防ぐための目的やシミュレーション手法の種類、どのような構造物に適用できるのかについて紐解きます。

座屈現象と座屈解析の目的・役割

部品の強度計算は完璧だったはずなのに、想定以下の荷重で構造物が壊れてしまったという経験はないでしょうか。これは材料の限界を超えたからではなく、形状に起因する現象が引き金となっています。

座屈現象とは?

圧縮荷重によって、細長い形状や薄い板形状のものが大きく変形し、破壊に至る現象です。材料の圧縮強さに達する前の荷重であっても、急激に軸外方向へ折れ曲がって変形してしまうため、非常に危険なリスクを孕んでいます。

座屈解析の役割と重要性

部材の突然の破壊を防ぎ、限界荷重や座屈挙動を予測することが大きな役割です。事前のシミュレーションによって構造物の安全性や整合性を確保し、リスクを低減する設計の意思決定を強力に後押しします。

座屈解析の主な2つのシミュレーション手法

CAEにおける座屈解析のアプローチは、大きく分けて2つの手法が存在します。目的や求める精度に合わせて使い分けることが求められます。

線形(固有値)座屈解析

座屈前の変位量が小さいと仮定し、固有値問題として解く基本手法です。理想化された弾性構造物の理論的な座屈荷重を素早く算出できるため、初期の設計検討において大きな力を発揮します。

非線形座屈解析(ポストバックリング)

初期不整や大変形を考慮し、より正確な実際の座屈荷重や座屈後の挙動を追跡できる高度な手法です。解析にテクニックと計算時間を要しますが、実際の構造物における正確な荷重限界を算出するために欠かせません。

CAEを用いた座屈解析の進め方と設定項目

実際にCAEソフトウェアで解析を行う場合、どのようなプロセスを踏むのでしょうか。モデル作成から結果の評価までの流れを整理します。

モデル作成とメッシュ分割

CADで作成したモデルデータをCAEに取り込みます。その後、解析対象を小さな要素(メッシュ)に分割する準備工程を行います。細かな要素に分けることで、複雑な形状の計算を可能にします。

各種条件の設定とポスト処理

弾性率などの材料特性、荷重、拘束条件といった具体的な項目を設定します。計算を実行した後は、臨界座屈荷重、座屈モード形状、応力分布などの結果を可視化・数値化するポスト処理を行い、評価指標として活用します。

座屈解析の適用範囲と具体例

座屈のリスクは、あらゆる構造物に潜んでいます。建造物や橋梁、航空宇宙構造物といった大規模なものから、樹脂製キーボードの押しボタンやフレーム材といった身近な部品まで、適用範囲は多岐にわたります。また、複雑な条件下での梁の座屈解析や、薄肉円筒シェルの座屈解析の事例など、幅広い設計要件に対して有効性が実証されています。

座屈解析を設計に活かすメリット

座屈解析の活用により、試作品の製作や物理テストの手間を大幅に削減できます。設計プロセスが効率化され、時間やコストの節約に直結するため、製品の安全性を担保しつつ競争力を高める強力な武器となるはずです。

目的別
CAEソフトおすすめ3選

開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。

開発上流での高速な
複数案検証・当たり付け
シムスケール
SimScale
画像引用元:SimScale公式HP
(https://simscale.kke.co.jp/)
分散・並列実行で解析
を高速化

構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。

上流での即時検証と連携
が可能なクラウド設計

非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。

AIとサロゲートモデル
構築による効率化

AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。

CAD・CAM一体化による
手戻り抑制・内製効率化
オートデスク フュージョン
Autodesk Fusion
画像引用元:Autodesk Fusion 公式HP
(https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview)
開発ツールの統合で
手戻りを防ぐ

CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。

設計段階で性能と信頼性
を検証

構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。

設計業務を効率化するAI搭載

ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。

詳細設計〜最終判断のための
高精度再現・相関確保
アンシス
Ansys
画像引用元:Ansys公式HP
(https://www.ansys.com/ja-jp)
信頼性の高い解析精度と
品質保証体制に対応

ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1

高度なマルチフィジックス解析に対応

構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。

高負荷解析を支える
HPCとクラウド環境

Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。

※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance)