CAEソフト導入支援ガイド【CAExplorer】 

振動解析とは?

製品の軽量化や高速化に伴い、原因不明の騒音や疲労破壊に頭を抱えていませんか。共振や騒音問題を未然に防ぐために、振動解析の重要性が増しています。変動する力に対する応答をシミュレーションする目的や手法、具体的な対策アプローチを紐解きます。

振動解析の目的と振動のメカニズム

動いている機械や構造物は、常に目に見えない揺れにさらされています。なぜこの揺れをシミュレーションする必要があるのでしょうか。根本的なメカニズムから探ります。

なぜ振動解析が必要なのか?

静解析では無視されてしまう「変動する荷重」に対する応答を調べるためです。慣性力や減衰力を考慮し、動的なつり合い状態を解くことで、小さな揺れから生じる共振や疲労破壊、騒音問題などの深刻なリスクを回避できます。

振動特性(質量と剛性)の関係

構造物の振動状態は、外部から加わる加振力だけで決まるわけではありません。構造物自身の「質量」と「剛性」によって大きく変化します。同じ力を加えても、質量や剛性の違いによって発生する周波数の高低が異なるというわけです。

振動解析の主な種類(解析タイプ)

CAEを用いた振動シミュレーションは、知りたい現象に合わせて手法を選ぶ必要があります。代表的な2つのアプローチを整理します。

モーダル解析(固有値解析)

加振力を考慮せず、構造物が持つ固有の共振周波数(固有振動数)と、どのように振動するか(固有モード)を調べる最も基本的な解析です。構造物が振動しやすい周波数と変形形状を調べる自由振動状態の計算と言えます。

周波数応答解析

固有振動数を調べるモード解析に対し、外部から特定の加振力を与えたときの実際の応答(振幅など)を調べる解析手法です。実際の運用環境に近い状態をシミュレーションできます。

CAEを用いたモーダル解析の手順

CAEソフトウェアを用いて実際にモーダル解析を行う際、どのようなステップを踏むのでしょうか。正確な結果を得るための工程を確認します。

材料物性とメッシュ・支持条件の設定

剛性と質量に影響するヤング率や密度などの物性を正確に設定します。さらに、固有モードを捉えるための目安となるメッシュ分割を行い、必要に応じた支持条件を入力して解析の土台を構築します。

固有振動数と固有モードの確認

解析を実行し、得られた固有振動数から共振リスクを予測します。同時に出力される固有モード(変形形状)を確認することで、振動しやすい箇所を特定し、設計変更の根拠として活用します。

振動解析を活用した共振対策の事例

解析結果をもとに、どのように設計へフィードバックすればよいのでしょうか。固有振動数をコントロールし、使用範囲外へずらすための具体的な設計変更事例を見ていきます。

リブの追加や厚み変更による対策

構造物にリブを追加したり厚みを変更したりすることで、剛性をコントロールするアプローチです。リブ追加で固有振動数を大きくし、逆に厚みを薄くして小さくするなどの形状変更を施し、目的の周波数帯から外す設計が可能になります。

樹脂材料の繊維配向やゲート位置の変更

ガラス繊維強化樹脂などを用いる場合、繊維配向度や射出成形のゲート位置を変更するだけで周波数特性を改善できます。材料の特性をコントロールすることで、形状を大きく変えずに共振を避けることができた有効な事例です。

まとめ

振動解析によって、製品の共振や破損リスクを設計段階で予測・回避することが可能になります。安全性と性能向上において振動解析をプロセスに落とし込むことは、開発の効率化と確かな品質確保に直結するはずです。

目的別
CAEソフトおすすめ3選

開発のどの場面で何を達成したいかに合わせて、CAEソフトを整理しました。設計時の工数削減、開発初期の方向付け、信頼性確保。フェーズごとのやりたい検証にフィットするソフト選びにお役立てください。

開発上流での高速な
複数案検証・当たり付け
シムスケール
SimScale
画像引用元:SimScale公式HP
(https://simscale.kke.co.jp/)
分散・並列実行で解析
を高速化

構造・流体・伝熱・電磁界解析をブラウザ上で完結。192コアが利用可能かつ、数百以上の並列計算により、高速で複数案の同時検証が可能。

上流での即時検証と連携
が可能なクラウド設計

非専任でも扱いやすいUIと、ブラウザ上で、⾮専任者でも即座に上流検証へ着手できる設計。設定や結果は、安全なワークスペース内で共有でき、解析専任者とのレビューもスムーズに連携。判断のスピードを損なわない運用を実現する。

AIとサロゲートモデル
構築による効率化

AIが解析設定作業をサポートし、非専任者でも迷わずに解析フローを進められる。また、サロゲートモデルを構築することも可能であり、設計〜評価プロセスの効率化を実現する。

CAD・CAM一体化による
手戻り抑制・内製効率化
オートデスク フュージョン
Autodesk Fusion
画像引用元:Autodesk Fusion 公式HP
(https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview)
開発ツールの統合で
手戻りを防ぐ

CAD/CAM/CAE/PCB/PDMなど、複数の開発ツールをひとつに統合。モデリングから製造準備までの流れが一貫され、データ変換やツール間の切り替えによる手戻りを防ぐ。

設計段階で性能と信頼性
を検証

構造解析や熱解析、モーション解析などのCAE機能を標準搭載。モデリングしたデータをそのまま使って解析でき、設計段階で強度・熱・動作をすばやく検証できる。

設計業務を効率化するAI搭載

ジェネレーティブデザインや図面自動生成などのAI支援機能を搭載。繰り返し作業を自動化し、形状提案や図面出力を短時間にし、スピーディーに回せる内製開発を支援。

詳細設計〜最終判断のための
高精度再現・相関確保
アンシス
Ansys
画像引用元:Ansys公式HP
(https://www.ansys.com/ja-jp)
信頼性の高い解析精度と
品質保証体制に対応

ISO 9001認証に基づく品質管理体制のもと、原子力・航空・自動車などの厳格な規制環境にも対応。社内検証、法規認証、顧客提出に耐える解析精度と信頼性を担保。※1

高度なマルチフィジックス解析に対応

構造・流体・熱・電磁場・音響など、複数の物理現象を連成解析できるマルチフィジックスCAE。非線形や疲労、衝突、安全試験相関など高精度が求められる現象を再現し、実験データに基づいた設計検証を支援。

高負荷解析を支える
HPCとクラウド環境

Ansys Cloudにより、大規模・非線形解析をクラウド上で高速実行。オンプレミス環境との併用が可能で、計算リソースの柔軟な拡張が行える。

※1参照元:Ansys公式サイト(https://www.ansys.com/ja-jp/company-information/quality-assurance)